滋賀県大津市のNPO法人 ALSしがネット/訪問介護事業所・居宅介護支援事業所 もも

2019.8.10 Aだより

5/13に入院して、8/8に退院しました。お祈りありがとうございました。

 この文章は、入院して二か月経ったころから、私のパソコンにダウンロードしてあるハーティラダーという意思伝達装置を言語聴覚士さんに調整していただいて、書き始めました。初め3行ほどはハーティラダーの50音表を「走行式」という入力方法を使って点滅させ、選びたい文字列が来たらスイッチを押して決定、次は、その文字列の中の一文字ずつが点滅するので、選びたい文字が光ったら、またスイッチを押して決定。漢字に変換というやり方で入力しました。とても時間がかかるので、次の日からは、視線入力で瞬きで決定するモードにしてもらいました。3/10秒の瞬きで決定できます。それでも、視線を希望するところに合わせる調整が微妙に難しく、練習を始めて二週間ほど経った8/5現在1時間で8行ぐらいのスピードです。

 でも、文が書けるのは大きな喜びです。それにハーティラダーにはWindowsを操作する機能もある(この文章もwordを使って書いていますが)ので、ダウンロードしてある電子書籍を読むこともできるのも嬉しいです。昨年亡くなった義父が癌が背骨に転移して重たい聖書が持てなくなったとき、電子書籍の聖書をダウンロードして、kindel端末で読んでいたのを、今度は私がパソコンで読むことができるのも、神様のご配慮だと思います。

<気管切開>

 今回の入院の主な目的は、気管切開と胃ろうの造設でした。気管切開をして、二酸化炭素濃度の値が低くなり、酸素濃度の値は高くなり、呼吸が楽になりました。でも、痰が頻繁に出るようになり、口にメラチューブという先端がうずまき状になっている吸引のチューブをずっとくわえて、口に出てくる痰を吸ってもらっています。胸に痰がたまって来ると気管切開したところに挿入してあるカニューという管に吸引のチューブを差し込んで取ってもらいます。これが一日に10~20回弱。だいぶ慣れましたがちょっと苦しいです。

 話は口パクでかなり通じますが、難しいときは、息を吸った時にカニューレを軽く指で蓋してもらうと、声が出せます。でも、長い時間蓋をされたままだと窒息します。まあ、10秒くらいがいいと思いす。でも、この技を使うには私の吸う息のタイミングと合わせなくてはならないので、ちょっと運動神経が必要です。

 これが使えないときは、文字盤の登場です。まだ指が動いていた時に、トリガータイプのマウスを使って、エクセルで作った文字盤の原版をptさんに透明シートにコピーしてもらって準備しておいたものです。

 透明文字盤の使い方は、読み手の人が私と読み手の間に文字盤をかざし、あかさたな・・・と順に文字を指さしていきます。例えば私が「た」でまばたきしたら、「た」です。「た」で瞬きしてすぐに上を見たら「ち」、右を見たら、「つ」、舌を出したら「て」、左を見たら「と」です。(「た」の周りに文字は書いてあります)瞬き2回は濁点です。初めての人は使い方が分からないので、説明が大変でした。

 われの前文字盤掲げフリーズすナースに説明必死に口パク

 われの舌カメレオンのように伸びるなら見ている文字をさわってあげたい

 今入れてもらっているカニューレは、高研内筒付きカニューレです。スピーチカニューレというものなら、指で蓋をするということなく発声ができるのですがそれを入れるためには、まず、レジナというカニューレに変える必要があり、試したのですが、なぜか呼吸が苦しくなり、断念しました。

 前後しますが、気管切開後は、HCUに入れてもらいました。患者に対して看護師さんが多いので、しゃべれなくなった四肢が動かない患者への配慮をしてくださったのです。しかし、困ったことがありました。それは、HCUは、旧館にあって、私用の特製ナースコールが接続できないのです。それで、副師長さんがHCUのナースコールに消しゴムを貼り付けて、発泡スチロールで手を置く台も作ってくださり、コールができるようにしてくださいました。いつものナースコールでも、指との位置関係がうまく決まらないとコールを押すことができませんが、このコールは、設定がさらに難しく、HCUの看護師さんには大変な思いをしていただきました。それで、私が舌打ちしたら、助けを呼んでいると気づいてもらうことが主になりました。これは近くにいる人を呼ぶ場合のみ使える技ですが、なかなか便利です。しゃべれなくなるとポジショニングの注文ができなくなると思われたので、OTさんとSTさんが、いろいろな体位の時にどのクッションをどのように使っているかを写真に撮ってマニュアルを作ってくださいました。これは、退院準備の病棟に移動して、初めて出会う看護師さんが多くなった時も、大変助かりました。HCUで3日過ごして、元の病棟に戻りました。

<胃ろう>

 気管切開の1週間後に胃ろうを造設してもらいまた。胃の上部に穴をあけて、ペグという蓋つきの管を挿入してあります。胃が引っ張られるようなわずかな痛みがしばらくありましたが、いつの間にか収まりました。でも、抜糸までの2週間は、食事なしで点滴だけでした。それで栄養が足りるようで、お腹が空かないのが不思議です。途中で生理的食塩水が中止になった時に、血尿かと思うほど濃い色の尿が出て、びっくりしました。毎日1200㎖以上の痰を出しているので、体内に水分が足りなくなったかなと思います。

 胃ろうからの食事は実に簡単です。まず、胃ろうのペグに、チューブを接続し、内服薬と白湯を200㎖をシリンジで注入してもらい、30分後にレトルトパックに入った栄養剤をシリンジか加圧パックで押し出して注入し、最後にまた白湯を30㎖入れてチューブ内をきれいにして、チューブを抜いたら終わりです。ラコールという栄養剤は半固形なので、シリンジで入れるのにはかなり力がいります。看護師さんは慣れておられるので、5分で入れ終わられますが、家族は20分くらいかかります。チューブの継ぎ目から液が漏れることがあったりして、慣れないうちは、大変でした。この頃は、加圧バックに栄養剤をパックごと挿入して、パックに空気を入れて加圧することで、栄養剤を押し出して注入する方法を使っています。時間が25分かかるのと、破裂しないかひやひやするのが欠点です。

 ラコール300gを朝と昼は1パック、夜は2パック注入してもらいます。口からはゼリーやヨーグルトみたいなものをお楽しみ程度食べるだけになりました。飲み物は200mlに2・5gのトロミ剤を混ぜてストローで飲んでいます。

 胃ろうに使うチューブやシリンジ、吸引のカテーテルなど在宅では消毒して乾燥させる仕事も家族がすることになります。

 今日はこの辺りで。明日に続く。シャローム

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